ASEAN、足並みに乱れ ミャンマー問題で会合、半数欠席
産経12/23
https://www.sankei.com/article/20221223-OBL3ZIB5RNN3JKB6VZX5STU6X4/

【シンガポール=森浩】国軍がクーデターで実権を握ったミャンマー情勢をめぐり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国は22日、タイの首都バンコクで非公式の外相会議を開いた。会議開催は国軍と関係が深いタイが提案したが、国軍に反発するインドネシアなどは出席を拒否。来年2月1日でクーデターから2年を迎えるが、ASEAN内部の足並みは乱れ、問題解決に遠い現状が浮き彫りとなった。

会議には加盟10カ国のうち、タイやカンボジアなど5カ国が参加した。いずれもインドシナ半島に位置し、国軍に融和的な姿勢を保つ。ミャンマーからは国軍が外相に任命したワナマウンルイン氏のほか、国際協力を担う閣僚らが出席した。インドネシアやマレーシア、シンガポールなどは外相の派遣を見送った。

ミャンマー情勢を巡り、ASEANと国軍は2021年4月、暴力の即時停止やASEAN特使受け入れなど5項目で合意した。しかし、国軍は合意をほぼ無視。ASEAN側は態度を硬化させ、首脳会議や外相会議などで国軍代表者の参加を拒否している。来年の議長国は対国軍強硬派のインドネシアで圧力をさらに強める可能性が高い。

タイとミャンマーは軍の間で結びつきが強い。タイのプラユット首相も14年のクーデターでトップの座に就いた経緯がある。タイはこのタイミングで非公式ながら外相会議を開催し、国軍の決定的な孤立を避けたい思惑がある。

タイ外務省は会議後の声明で、「ミャンマーが正常な状態に戻る道筋を見つけるため意見交換を行った」と意義を強調した。タイメディアによると、5項目の合意の履行について話し合われたもようだが、具体的な内容は明らかになっていない。

ASEANが一枚岩になれず有効な手立てを打てない中、ミャンマー国内では国軍による市民弾圧が進んでいる。国軍は民主派が結成した武装組織「国民防衛隊(PDF)」や民主派に呼応する少数民族武装勢力の拠点への攻撃を強化。10月には北部で大規模な空爆を行い、市民ら60人以上が死亡した。