世界中で流行した新型コロナウイルスが初めて確認されてから3年がたった。

酸素や医療施設が不足し、50万人以上が亡くなったインドではいま、感染者が急減し、多くの規制が撤廃されている。
だが、14億人が暮らす社会には、コロナ禍で深い傷を負った人たちも少なくない。

国内外の観光客が訪れるインドの首都ニューデリーのインド門。マスクをする市民の姿はほとんど見られない。
11月上旬、家族と来ていたアンクシュ・セティさん(40)は「感染者の少なくなったコロナよりも、冬の時期は大気汚染の方が気がかり」とこぼした。

2021年に新型コロナのデルタ株が初めて確認され、猛威をふるったインドでは、医療用酸素が不足して、ガス業者の前に列ができ、
食料や薬品の買い物以外の外出も各地で禁止された。新型コロナの累計感染者数が約4470万人で、死者は53万人を超える。

ただ、実数は、はるかに多いとみられる。政府の医学研究評議会が昨年6〜7月に実施した検査では、対象者(3万6227人)の67・6%が抗体を持っていた。
単純計算なら、この時点で約14億人の人口のうち約9億人が抗体を持っていたことになる。

地元メディアによると、当時はワクチン接種を1回でも済ませていた成人は約30%にとどまっており、数億人がすでに感染していた可能性がある。

今年2月以降は感染者数が激減した。コロナ専門家のナレンドラ・クマール・アローラ医師はその理由の一つに、
自然感染とワクチン接種の両方を経験することでより強い免疫を得られる「ハイブリッド免疫」の存在をあげた。

コロナとみられる症状が出ても、検査に行かない人も目立つようになった。 社会は「ウィズコロナ」に突き進む。

だが、未知の感染症に襲われ、身近な人が次々に亡くなっていった記憶は今も鮮明に残る。

ニューデリー南部のスラム街。れんがやセメント造りの家の3階に16〜13歳の3人きょうだいが暮らしている。両親はいない。
電気工の父親は20年5月に、主婦だった母親も翌年4月に新型コロナに感染し、亡くなった。

https://www.asahi.com/articles/ASQDV515ZQCYUHBI03H.html#:~:text=%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A

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