自民が混迷… 衆院神奈川の18区と4区 現職の山際大志郎氏、山本朋広氏の支部長選任が保留 背景は?

 次回の衆院選小選挙区で自民党の公認を得るのに必要な選挙区支部長の選任を巡り、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が明らかになった山際大志郎前経済再生担当相(54)=神奈川18区=と山本朋広元防衛副大臣(47)=同4区=の扱いが保留となっている。来年4月の統一地方選への影響を懸念し、党県連がストップをかけたためだ。「統一地方選が終わるまでは、おとなしくしていてほしい」と突き放す地方議員もおり、混迷の様相となっている。 (志村彰太、北條香子、砂上麻子)
◆地元の地方議員が関わり合いを拒否
 「政治活動のポスターは一緒に写りたくない」「統一選では一切応援に来ないで」—。衆院の区割り変更に伴い、神奈川では二つ選挙区が増えたため、県連は今月20日、支部長を選任し直す会議を開いた。出席者によると、18区と4区の地方議員は山際、山本両氏の支部長選任を認めるとしつつ、両氏との関わりを拒む条件を提示。「支部長は地元の顔。表に出したくない人を選ぶべきではない」との意見が出るなど議論が紛糾し、保留となったという。
 自民は比例復活を重ねる議員の支部長選任を保留することはあるが、小選挙区で4回連続勝利している山際氏の保留は異例だ。ある男性地方議員は「ポスターで一緒に写ったりしたら、有権者から『おまえも山際と一緒か』と言われる。目立たせて損はあっても得はない」と話す。
 山際氏が地盤としてきた川崎市中原、高津、宮前の各区は区割り変更で18、19区に分割された。宮前区と横浜市都筑区で新設された19区に移る案もあったが、横浜市側の地元地方議員は「山際と心中する気はない」と拒否した。
◆「地元でほとんど見かけない」上に旧統一教会問題
 一方の山本氏。4区で4回連続落選して比例復活という事情も加わり、鎌倉市などの地元は冷ややかな視線を注ぐ。ある地方議員は山本氏から連絡はないとし、「もう関わりたくない」と言葉少な。別の地方議員は「山本氏も山際氏も、いま支部長にしたら自民党の良識が疑われる」と話した。
 両氏について複数の地方議員に聞くと、「地元でほとんど見かけない」「地元への働きが少ない」との評価で共通する。積年の不満に旧統一教会の問題が亀裂を決定的にしている形だ。梅沢裕之・県連幹事長は20日の会議後、支部長選任について「そんなに時間をかけずに決めたい」と語ったが、ベテラン県議は「そんなに簡単な話じゃない」と、くぎを刺す。
 統一地方選では、県議選や横浜、川崎両市議選などが行われる。山際、山本の両氏は事務所を通じて質問に答えた。山際氏は「地元議員と連携を取りながら、統一地方選に向けて全力を尽くす」、山本氏は「県連の判断を重く受け止め、保留となった理由などを地域で協議し、来年に改めて(支部長選任の)申請をする」とコメントした。

東京新聞 2022年12月30日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/222765