相次ぐ閣僚辞任などで揺れる岸田政権に対し、自民党非主流派の二階俊博元幹事長が静観を決め込んでいる。岸田文雄首相が苦境にあえぐ中、きな臭い動きに出れば党内の反発を招くと見て自重しているようだ。ただ、今後の政局をにらんでか、同じ非主流派の菅義偉前首相らとの関係維持には余念がなく、政権側の警戒感は消えない。

 二階氏は23日夜、菅氏に加え、菅政権を共に支えた森山裕選対委員長と東京都内で会食した。周囲には「こうやって顔を合わせることが大事だ」と解説してみせた。

 二階、森山両氏は菅政権誕生の立役者で、それぞれ党内派閥の会長を務める。菅氏もグループ結成の布石とされる勉強会発足を模索。3氏は定期的に会食を重ねており、岸田政権に異変があれば共に行動するとみられている。
 首相の党総裁任期は2024年9月末で、大型国政選挙も当面は予定されず、選挙の顔選びに絡む「岸田降ろし」などの動きは見られない。そうした中、二階氏率いる二階派は所属メンバーを着々と増やし、勢力を拡大中だ。今月には単独で党内第4派閥となった。
 卯(う)年の来年、年男となる二階氏は「ウサギのように俊敏でなきゃならん」と記者団に政局と向き合う心構えを説いた。二階派幹部も「政治はタイミングだ。今は何もしないが、その時が来たら動く」と明かす。
 「ポスト岸田」として二階氏が想定するのは菅氏とされる。安倍晋三元首相を支え、自らも政権を担った菅氏の手腕に、今も党内で一定の評価がある。二階氏にとって、「菅カード」をちらつかせることは岸田政権へのけん制にもなる。
 昨年9月の党総裁選に出馬した首相が、歴代最長の幹事長在職中だった二階氏を外すかのような「党役員任期制限」を掲げたことは、今も二階氏側にしこりとなって残る。首相サイドは二階氏の「逆襲」に神経をとがらせている。
 岸田派関係者は、23日の二階、菅、森山3氏の会合について「首相は脅威に思っているだろう」と語った。同派中堅議員は「総裁選はまだ先だから引きずり降ろすような動きはないと思うが…」と声を落とした。

時事通信 2022年12月30日07時15分
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