新型コロナウイルスの感染状況が依然深刻な中、乳幼児(生後6カ月〜4歳)のワクチン接種が進んでいない。
新潟大の斎藤昭彦教授(小児感染症学)は、オミクロン株の流行後から乳幼児の重症例や死亡例が増えているとして、3回接種する重要性を指摘する。

斎藤教授によると、オミクロン株の感染拡大後、特徴的なせきが出る「クループ症候群」や熱性けいれんで入院する子どもが全国で増えている。
基礎疾患がなくても重症化し、ウイルスが頭部に入って脳症になったり、心臓の筋肉に入り込んで心筋炎を引き起こしたりして命を落とす子どもも相次いでいるという。

国立感染症研究所(東京)による小児の死亡例の分析では、全体の4分の3にあたる19例が発症から1週間以内に亡くなっていた。

斎藤教授は「重症化のループに入るとなかなか助けられない」と警鐘を鳴らし、自身の印象として「重症になる子どものほとんどがワクチンを接種していない」とする。

一方で、ワクチンを3回接種すれば、大人の2回接種後と「ほぼ同じ抗体を得られる」と指摘。
「接種しても感染して発症することはあるが、重症化や入院を防げる点で重要だ」と意義を強調する。

日本小児科学会も、基礎疾患の有無にかかわらず「推奨する」との考え方を示している。

https://www.asahi.com/articles/ASQDZ6SVDQDJUOHB00D.html