時計と地球の自転のずれを調整する「うるう秒」が2035年までに実質的に廃止される見込みとなった。
11月に標準時のもとになる時刻の管理を担う国際組織の会議「国際度量衡総会」で決議があった。
IT業界からは歓迎の声が上がるが、実生活に影響はないのか。

 かつて時の定義は、昼と夜のように人間の生活リズムと密接な地球の自転に基づいていた。
「24時間で1回転するとして、その8万6400分の1が1秒」といった具合だ。

 ところが科学技術の進歩で、自転速度が潮の満ち引きによる潮汐(ちょうせき)摩擦などで微妙に
変動することが判明。のちに1秒の定義は、高精度な原子時計によるものに置き換わった。

 現在、各国の標準時のもとになる「協定世界時(UTC)」も、世界中にある400台以上の原子時計の
進み具合を平均するなどして決められている。

 うるう秒は、そんなUTCと地球の自転に基づく時刻が、大きくずれないよう合わせるためのものだ。

 具体的には時間差が0・9秒を超えそうになったとき、UTCを1秒分調整する。精密な原子時計と地球の
自転速度のムラの「つじつま合わせ」とも言える。

 似たような言葉に「うるう年」があるが、根本的に違う。

 うるう年は地球が太陽の周りをまわる公転周期が365日より若干長いことから、ほぼ4年に1回
規則的にくる。一方、うるう秒は、不規則なうえ、半年前にしか分からない。

 毎回、地球の自転を観測する国際機関が調整のタイミングを決める。それを受けて、日本では
標準時を管理する情報通信研究機構(NICT)などが周知や通報にあたる。これまでに27回、直近だと17年にあった。
 1秒のずれがどう影響するのか。
イレギュラーな時刻、システム障害の原因に
 うるう秒が1972年に導入…

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朝日新聞デジタル 水戸部六美2022年12月31日 19時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQD046LNQDNULBH001.html