「応援してくれると思ったんですけどね」。さいたま市の女性(56)はあきれたように笑った。
女性パートナーと精子提供を受けて生まれた長男(6つ)との三人家族。結婚できないため、家族として公的に
認める同市のファミリーシップ制度を利用したいが、年一回の子の意思確認のための届け出が「差別的だ」として諦めた。

 届け出書には、こんなチェック欄がある。
▽子の名前を記載する制度について理解できるよう丁寧な説明を行うこと
▽子が名前の削除を希望する場合には意思を尊重すること。

まるで届け出書が子どもに「あなたの家族は普通とは違います。説明を受けて理解しましょう」と言っているかのようだ。
 「異性の夫婦は届け出ないのに」という二人の問いに、市は「婚姻関係を例に挙げるが、そうではなく子の人権問題」の一点張り。
今の婚姻制度に当てはまらない家族を市が応援する制度だと思いきや、どうやら違うらしい。(浅野有紀)


東京新聞 2023年1月8日 07時37分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/224145?rct=metropolitan