トランスジェンダーである自身の経験に根ざし、性的少数者(LGBT)の生を描く映画で高い評価を受ける
若手映画監督・飯塚花笑氏による在日比人二世を題材とした最新作「世界は僕らに気づかない」が13日から
日本で公開される。

 同作の主人公・純悟=堀家一希=は、母の偽装結婚、国籍問題、貧困と送金地獄、母子家庭
差別など日本生まれの比人二世が抱える諸問題を背負う、同性愛者だ。出自・セクシュアリティ(人間の性)の
両面でマイノリティー(少数派)の純悟は、比人母を怒鳴りつけ、恋人には強引に体を求めるなど「尖った」人物
として描かれる。本作は、そんな彼が家を飛び出し、まだ知らぬ父を探す旅を通じて成長する物語だ。
 昨年3月の「大阪アジアン映画祭」で「来るべき才能賞」を受賞するなど、内外で高い評価を得た同作を通じ
表現したかったものについて、飯塚監督に聞いた。(聞き手は竹下友章)

 ―構想はいつから。
 最初の脚本は2013年に書いた。当初はセクシュアリティだけに焦点を当てていたが、東京都渋谷区の
同性愛パートナーシップ条例=2015年制定=を巡る議論が出た時期に「LGBT」という言葉が一般化し
セクシュアリティを扱う映画も増えたため、原案では意味がないと思えてきた。

 その後、2019年に開催されたラグビーワールドカップで多くの帰化者が日本代表として出場したことに対し
世間では「これは日本代表か?」という声が「素朴な疑問」としてあふれた。こうした日本の「ナチュラルな差別」に
気づいたことを機に、国籍・人種要素を取り入れようと構想を練り直した。

 ―比人二世を選んだ理由は。
 子どものころの原体験があった。自分の地元・群馬県は、外国人労働者が多い。小学校のころから身の回りに
比人やブラジル人がたくさんいた。比人二世の友達の家に遊びに行くこともあったが、夕方に帰ろうとすると
他の友達と違い寂しがる。彼らの母親は夜働きに出てしまうからなのだが、当時は事情が分からなかったし
違いを感じつつも触れられなかった。

続きはソースで

日刊まにら新聞 2023.1.8
https://www.manila-shimbun.com/category/society/news268617.html