【ワシントン=高見浩輔】世界銀行は10日、2023年の世界経済の実質成長率見通しを1.7%に引き下げたと公表した。半年前の前回見通しで示した3.0%から下方修正した。世銀は「高インフレと、それに対応した各国の利上げが世界経済を景気後退に追いやる危険性をはらんでいる」と指摘した。

先進国は0.5%と前回見通しから1.7ポイント引き下げた。9割以上の国・地域で下方修正になった。米国を0.5%、ユーロ圏を0%成長とした。いずれも前回見通しから1.9ポイントの大幅な下方修正とした。日本の引き下げ幅は0.3ポイントと小幅で、成長率見通しは1.0%になった。

新興国・途上国の成長率も23年は3.4%と0.8ポイントの下方修正になった。新型コロナウイルス禍の感染拡大が続く中国は0.9ポイント引き下げて4.3%とした。新興国も7割が下方修正となった。輸出の低迷、高インフレと通貨安、資金調達環境の悪化を反映した。

マルパス総裁は新興国・途上国について「多額の債務負担と投資の低迷により、数年にわたる低成長に直面している」と分析。教育や健康、貧困問題などさまざまな分野に影響が及ぶと懸念を表明した。

23年の世界経済成長率が予想通りになれば2000年以降ではマイナス成長に沈んだリーマン危機後の09年、コロナ禍の20年に次ぐ低成長となる。21年は5.9%と回復したが、22年は2

日本経済新聞 2023年1月10日 23:35 (2023年1月11日 5:23更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10BGL0Q3A110C2000000/