新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した新ワクチンの沖縄県内の接種予約が低迷している。県は今冬の感染拡大に備えワクチン接種を呼びかけているが、接種を済ませたのは県民のわずか21%。需要を見込んで確保した膨大なワクチンの在庫に、頭を抱える市町村も出ている。(社会部・篠原知恵、平良孝陽)

 那覇市は昨年12月下旬から集団接種の予約が伸び悩む。1月の予約率は11日時点で2割と空きが目立ち、直近1週間に限っても5割にとどまる。担当者は「費用対効果を考えると、集団接種会場を今月末で閉めざるを得ない」と話す。

 悩みの種はワクチンの在庫だ。現在、約16万人分のワクチンを抱える。接種を済ませた人を除いた12歳以上の全市民が打ってやっと解消できる数だが、予約低迷の中で見通しは立たない。法律に基づくワクチン接種の実施期間が3月末であることを踏まえると「このペースが続けば、大量に廃棄が出る可能性もある」と明かす。

 「年内に希望者全員の接種」を掲げた政府の方針を受けて確保した数だったが、集団接種会場を閉めて各医療機関の個別接種を中心に切り替えれば、さらにペースが落ちる懸念もある。担当者は「さらに広報を強化するしかないが…」と述べた。

 豊見城市も、1月と2月の予約状況を反映させても、このままだと3月末までに接種対象者の約4割に当たる約1万7千人分のワクチンが余ると見込む。市の担当者も那覇市同様、「在庫を余らせないよう、さらに広報を工夫するしかない」と妙案はない。

 市町村の接種業務を補完する県の広域ワクチン接種センターでも、予約は下火の状況だ。昨年末の予約率は90%近くにまで達したが、年明けには10%台に落ち込み、11日時点で20・9%。従来から月初めの予約は芳しくないが、1月は特に低調という。県は「年末年始に都合が付かなくなった人は、これからでも接種を」と呼びかけている。

■接種率21% 全国最低

 政府が11日にまとめた全人口に対するオミクロン株対応ワクチンの接種率は37・20%に対し、沖縄は21・83%にとどまり、全国一低い状況が続く。他府県と比べて沖縄は接種率が低いとされる若者の人口割合が高く、積極的に接種する高齢者の割合が低いことが要因の一つとみられている。

 県内の新ワクチンの接種率の年代別は12~19歳が9・8%、20~29歳は8・9%、30~39歳は11・5%(3日現在)で、若い世代の接種率の低さが顕著。県は(1)副反応への懸念(2)学校や仕事を休めない-を主な理由としている。

 若者へのてこ入れを図ろうと、県は交流サイト(SNS)でワクチンの重症化予防の効果などを伝えつつ、大学へ出向いたり、接種会場の営業時間を夜間帯に設けたりするなどの対策を取っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/25623f534488866334eec78e6ccee50408bbe941
https://www.okinawatimes.co.jp/mwimgs/2/8/375/img_281734c439d5ba5b427fae9dca05d01a6353156.jpg