イエレン米財務長官は13日、マッカーシー下院議長や与野党の議会指導者に書簡を送り、連邦政府の借金総額が19日にも法律で定めた「債務上限」に達するとの見通しを明らかにした。当面は公的年金基金の新規投資を停止する臨時措置などでしのぐが、6月上旬以降に政府の資金繰りが行き詰まる恐れがあると警告し、債務上限の引き上げなど早期の対応を求めた。

 連邦政府の現在の債務上限は31・4兆ドル(約4019兆円)。上限に達すれば追加の借金ができなくなり、政府機関の閉鎖や米国債の債務不履行(デフォルト)で米経済は混乱に陥る。

 書簡でイエレン氏は臨時措置による資金繰りについて「現時点で推測するのは難しいが、6月上旬までは資金が枯渇する可能性は低そうだ」と説明。「米国の信用を守るため、議会が速やかに行動するよう求める」として、上限の引き上げや一時停止を認める法案の成立を急ぐよう求めた。

 昨年の中間選挙で下院多数派を奪い返した共和党は、債務上限問題に協力する条件として、手厚い社会保障策などを実行してきたバイデン政権に歳出削減を求める考え。これに対し、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は13日の記者会見で「債務上限を巡っては、いかなる交渉もしない。政治的な駆け引きではなく無条件でなされるべきだ」と発言しており、協議は難航しそうだ。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞 2023/1/14 10:26(最終更新 1/14 10:26) 571文字
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