新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症者の一部は感染から回復しても体の不調を訴えることがあり、
患者の中には疲労感などを覚える後遺症、ロングCOVIDを発症している場合があることが報告されています。

ロングCOVIDに焦点を当てた研究を行う組織「Patient Led Research Collaborative」のチームが、
ロングCOVIDがこれまで認識されてきたよりも大きな脅威となる可能性があることを発表しました。

ロングCOVIDは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者の少なくとも10%で発生するとされている、しばしば患者を衰弱させる病気です。

Patient Led Research Collaborativeのハンナ・デイビス氏らによると、先行研究では、SARS-CoV-2ウイルスに感染した人の中には
呼吸器系以外の症状を発症する人がいることが示されており、患者は深い疲労感や不整脈、四肢のしびれ、
さらには肝臓や膀胱などの臓器に問題があることを報告しています。

ただ、呼吸器系に関しては治療や療法、ワクチンの作成など多くの研究が行われてきたものの、ロングCOVIDの謎を解明したり、
発症したと主張する人を治療したりするための研究はほとんど行われてこなかったとのこと。

ロングCOVIDの謎を解き明かすためにデイビス氏らが先行研究を調査したところ、
ロングCOVIDに関してはこれまでに複数の臓器系に影響を与える200以上の症状が確認されており、世界中で少なくとも6500万人がロングCOVIDを患っていると推定されているとのこと。

また、ロングCOVIDは36歳から50歳の人に最も多く見られ、症状が軽い人は1年以内に回復する可能性が高い反面、症状が重い人の場合は、症状が軽くなる兆しはほとんどないことが分かっています。

加えて、ロングCOVID患者の一部は心臓や肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓に損傷を受けていたほか、感染によって2型糖尿病のリスクも増加することが先行研究から分かっています。
デイビス氏らは「ロングCOVID患者が経験する臓器障害の長期的な影響はまだ不明です」と述べ、さらなる調査が必要だという点を強調しました。

デイビス氏らは「ロングCOVID患者には治療の選択肢がほとんどないため、確かな臨床試験を行うことが今後の優先事項として据えられるべきです。

https://gigazine.net/news/20230117-long-covid-symptoms/