ロシアのウクライナ侵略や円安に伴うエネルギー価格高騰でガス料金が上昇する中、千葉県茂原市やその周辺の地域では料金がこの10年間据え置かれ、
東京などの6割程度に抑えられている。地元で採取される天然ガスを活用しているためだ。

2〜10月は政府の料金抑制の補助金でさらに安くなり、周辺自治体は地産ガスの恩恵による安価なガス料金をアピールして移住者の呼び込みなどを図る。

「料理屋では大量にガスを使う。料金が高騰しないのはありがたい」。茂原市内で和食店「めし処 寅や」の経営者(50)は笑顔を見せる。

茂原市を中心に約17万世帯に都市ガスを供給する大多喜ガス(茂原市)によると、ガス料金は2013年に値上げして以降は同じ価格で、
平均的な家庭で月額約5310円ほど。2月からは政府の補助金でさらに1000円程度安くなる。


東京ガス(東京都)管内の場合、21年12月には約5410円と茂原市とほぼ同じ価格だったが、今年1月には約7630円に値上がりした。
補助金の支給が始まる2月も約6960円と高値は続く。

ガス料金を抑える切り札となるのは天然ガスだ。茂原市に隣接する睦沢町では、橋の上から川の水面をのぞき込むと、
大小の泡が浮かんでいるのが見える。大多喜ガスの担当者は「地中から湧き出す天然ガスです」と説明する。

このガスは、房総半島を中心に広がる南関東ガス田から漏れ出している。ガス田には、メタンガスが地下水に溶けて埋蔵されており、
採取可能量は約3685億立方メートル。日本全体の天然ガス消費量(年間約1100億立方メートル)の3年分ほどになる。

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