【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード副議長は19日の講演でインフレ率がこの数カ月の間に低下したことを認めつつ、金融引き締めには時間をかける意向を示した。「私たちはこの路線を維持することを決意している」と話し、早期の利下げ転換を見込む市場をけん制した。

シカゴ大での講演でブレイナード氏は歴史的な失業率のまま平均時給が下がっている点に触れ「雇用を大きく失うことなく、インフレ率の低下を促進できる可能性が残っている」と指摘。経済がソフトランディング(軟着陸)に向かいつつあると自信を示した。

そのうえで「インフレ率が持続的に2%に戻ることを確認するためには、金融政策はしばらくの間、十分に引き締め的な水準である必要がある」と従来通りの表現を繰り返した。

ブレイナード氏は米労働市場について、依然として人手不足が続いているものの企業側の需要が徐々に収まりつつあると分析した。労働市場全体の先行指数となる派遣サービス業の雇用数が新型コロナウイルス禍前をわずかに上回るだけの水準まで減少し、企業は従業員の平均労働時間を短くしていると例示した。

日本経済新聞 023年1月20日 3:59 (2023年1月20日 5:26更新)
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