米国で、卵の価格がインフレに加え鳥インフルエンザの流行により高騰している。

米労働統計局によると、大型卵の12個入りパックの昨年12月の全国平均価格は4・25ドル(約550円)と、
1年前の1・79ドル(約230円)から2倍以上に跳ね上がった。

鳥インフルエンザの影響を受けた2015年を大きく上回る歴史的な高値で、自衛のためにニワトリを飼う人や「密輸」する人もいるという。


今回の鳥インフルエンザの流行は昨年2月に始まった。米疾病対策センター(CDC)によると、
47州の養鶏場などで約5787万羽が殺処分されるなどし、過去最大の被害を出した15年(約5050万羽の殺処分など)を上回っている。

卵を産むニワトリの数も5%減ったといい、価格を押し上げている。ニューヨーク中心部マンハッタンのスーパーでは21日、
「オーガニック」と記された高級な大型卵の12個入りパックは8・99ドル(約1160円)で売られていた。

こうした中、安い卵を「密輸」するケースが増えている。

米税関・国境警備局の担当者は20日、「メキシコから生卵などの禁止食品が持ち込まれる量が急増している」と警告。
米オンラインメディア「ボーダー・リポート」によると、テキサス州に接するメキシコ北部シウダフアレスでは、
30個入りが3・40ドル(約440円)と格安で、米国に持ち込む人が後を絶たない。

禁止されていると認識していないケースが多いとみられるが、発覚すれば最大で罰金1万ドル(約130万円)という。

家計の負担を減らそうと、苦肉の策に出る人もいる。
米CNNは「いくらかの節約につながればと自宅の庭でニワトリを飼う人が増えている」と報じ、
昨春から飼っている女性が余った卵を売ろうと考えている話や、前年から売り上げが8割増えたというヒヨコ販売業者の声を伝えた。

ただ、CNNに語った専門家によると、鶏小屋や餌代など経費がかさむため、「スーパーで卵を買うよりも、多くの金を払うことになるのが現実だ」という。

https://mainichi.jp/articles/20230122/k00/00m/030/013000c