相手に別れ話をされて逆上し、ストーカーや殺人など重大事件に発展したり、交際中に撮影した性的画像や
動画をもとに被害者を脅したりする事件は残念ながら後を絶たない。

2022年、大阪地裁で開かれた裁判で「お互い顔が見えずに不安になってしまった」、「相手を思いやる練習が足りて
いなかった」と語っていたのは、強要未遂、リベンジポルノ防止法違反に問われた被告人だ。
被害者が味わった苦しみに比べて、あまりに軽かった男の反省の弁とは。裁判の全容をレポートする。(裁判ライター:普通)

●彼女を振り向かせたくて「全部晒すからな」のLINE
被告人は20代前半の飲食店アルバイトの男性。見た目は大人しく、自信なさげな表情を浮かべ
裁判に不安なのか沈んだ雰囲気を感じる。

事件は2022年の6月。被害者である19歳の女性(以後、A)は、当時交際していた被告人との交際解消を求めた。
被告人は偶然、AのSNSの裏アカウントを見つけると、そこには別の男性との交際を思わせる写真などが
多数投稿されていたため立腹した。
話し合う機会をなかなか作れなかったが、それでも交際を継続したいと思った被告人は
、交際解消を思い留まらせる目的でLINEを送った。
「名前、住所、電話番号、学生証、ハメ撮り、ガチで全部晒すからな、このクソアマが」
「8月まで彼女でいるって言ったけど、延長しないとマジで許さない」
「リベンジポルノは軽い。50万も払えば許される」
などと、性交時に撮影した動画の拡散をほのめかすメッセージを送った。裁判では、実際に犯行で使われた
証拠を取り調べるため、このような文言もそのまま朗読されるため、迫力を感じる。
交際を継続したかったという被告人に一定の同情はできる。しかし、弁護人から「そのようなことをした結果として
交際関係が復活すると思うか」という質問にある通り、私怨が先行した行動には同情の余地はない。

●回収できない拡散された動画
恐怖を感じたAは、被告人のLINEをブロックした。しかし、被告人はそれにさらに逆上し、動画共有サイトにAの顔や
胸などが映った動画データをアップロードした。
共有サイトにアップロードした動画は、第3者がダウンロードするにはパスワードがないと閲覧ができないものであったが
他者の投稿動画のコメント欄に記載する形でパスワードを公開した。罪悪感からすぐにコメント欄のパスワードは削除
したものの、アップロードした動画自体の削除が遅れた。
アダルトコンテンツの情報を発信するアカウントがTwitterで拡散したこともあり、動画は削除される前に約400回
ダウンロードされた。拡散された動画は回収する術もなく、Aは知り合いに「いつ動画を見られるか、すれ違う人が
もしかしたら動画を見ているのではないかと思うと恐い」と心情を語っている。被告人の厳重処罰を望んでおり
謝罪文や弁償金の10万円の受け取りを拒否している。

続きはソースで

弁護士ドットコムニュース 2023年01月22日 09時27分
https://www.bengo4.com/c_18/n_15546/