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ワクチン打つとコロナかかりやすい説が眉唾な訳
医学を身に付けた専門家の合理的な議論が必要だ
2022/06/09 6:00 東洋経済オンライン
上 昌広 : 医療ガバナンス研究所理事長

学歴: 東京大学 大学院医学系研究科・医学部 (1999年)、 東京大学医学部 (1993年)、 灘中学校・高等学校 (1987年)
出身校: 東京大学

抜粋

世界各地から同様の研究は出ていない
ところが、わが国での議論の方向は正反対だ。同じデータからコロナワクチンの効果を疑問視する議論が横行している。もし、コロナワクチンが【抗原原罪】などをもたらすのなら、すでに世界各地から同様の研究結果が指摘されているだろう。
私の知る限り、そのような研究は存在しない。研究者の思いつきに過ぎないであろう極論を、あたかも1つの仮説のように読者に提示するのは適切と言えない。もし、研究者が本当にそのような可能性を考えているなら、根拠とともに『ネイチャー』など専門誌に投稿するのが筋だ。彼らの議論に説得力があれば、『ネイチャー』編集部も掲載するだろう。世界のコロナ対策を一変させる可能性がある貴重な情報だからだ。もちろん、そんなことはありえないだろう。
わが国のコロナ論争では、なぜこんな低レベルな議論が横行するのか。このような頓珍漢な論争は、今回始まったことではない。三密やクラスター対策、PCR擬陽性など、世界では相手にされない牽強付会な議論を繰り返してきた。
今回も、比較可能性がないワクチン接種者と非接種者の感染率を比較し、ワクチン無効論のような暴論を招いた。これでは、何のために、医療現場や患者に膨大な負担をかけ、巨額の血税を投じ、データを収集しているかわからない。コロナ対策で必要なのは、医学の基本を身に付けた専門家による合理的な議論である。