文部科学省は受験科目の見直しや英語民間試験活用など国公私立大学に入試改善を促す指針を作成した。同省が入試の改善に関する指針を出すのは初めて。一部大学では、学生確保のため、入学後の学習に必要な理系科目を課さないなど形骸化も指摘される。高校段階から文系理系に偏らず幅広く学び、大学で文理の枠を超えた能力を伸ばせる大学生の拡大を狙う。

 25日の中央教育審議会大学分科会で指針案を示し、2月に決定する。来春以降の入試の参考にしてもらう。強制力はないが、文科省は、改善状況の点検などを通じ、取り組みを促す。

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(写真:読売新聞)

 現在の大学入試で国立大は原則「5教科7科目」だが、私立は受験生を集めやすい入試科目になりがちだ。経済学に欠かせない数学を問わない経済学部も多い。高校でも入試に向け、2年生以降に生徒を文系理系に分けてしまい、学びに偏りがあるとの指摘もある。

 指針案は、入試で入学後の授業に必要な科目を原則、課すように大学側に求める。

 データサイエンスを学ぶ学部で数学や情報、経済を学ぶ学部では数学を課すことなどが想定される。早稲田大政治経済学部では、2021年から数学を課すが、志願者減を懸念し、他大での導入は進んでいない。例外的に必要科目を課さない場合でも入学後に高校までの基礎学力を身につける補習などの実施を提示した。

 各大学は、改善の効果を測るため、入学後の学生の追跡調査も行う。一般、女子枠など入試タイプごとに成績や中退率などを調べる。

 一方、英語では、スピーキング力などを問う英語民間試験を活用する入試が約2割にとどまっており、活用を促した。

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