世界的に見ても、日本人の睡眠時間は短いと言われます。子どもたちも例外ではありません。学校や塾、部活動などで忙しいことや、スマートフォンの普及で友達とのやりとりや動画視聴などに時間を取られ、眠る時間が削られて心身に不調をきたすケースがあると指摘されています。

 子どもたちの睡眠時間を確保するために、「学校の始業時間を遅らせること」を呼びかける動きがあります。課題の解決につながるのでしょうか。

Start School Later
 東大大学院博士課程の萩原峻太さん(26)は一橋大学在学中に、京大客員准教授だった故・瀧本哲史さんが創設したインカレゼミ「瀧本ゼミ」に参加した。そこで取り組む社会課題を探す中で、高校生の睡眠の問題に着目し、2018年に有志のプロジェクト「Start School Later」を立ち上げた。

 「一番のきっかけは、自分も朝がとてもつらかったこと。でも様々な文献などを調べていくと、より奥深い問題だということに気がつきました」

 自身が高校生の時は、始業が午前8時だった。間に合わせるためには、6時50分のバスに乗る必要があり、6時前には起きていて、常に眠かった。さらに大学で始めた塾講師のバイトでは、やる気のある高校生でも授業中に眠そうにしているのが気がかりだった。

記事後半では、海外での実践や、始業時間を9時台にしている中央大学高校の取り組みを紹介します

 背景を調べると、日本の子どもたちが睡眠に深刻な問題を抱えていることがわかった。

 睡眠時間が短いと、抑うつ傾…(以下有料版で,残り1614文字)

朝日新聞 2023年1月29日 6時00分
https://www.asahi.com/articles/ASR1W6GRTR1NULEI00D.html?ref=tw_asahi