米国がウクライナに供与する戦車「M-1エイブラムス」と自国仕様の違い
Forbes David Axe 2023.01.30
https://forbesjapan.com/articles/detail/60488

ウクライナが米国から供与される初のM-1A2エイブラムス戦車31両を受け取るのに数カ月、もしかすると半年以上かかるかもしれないのには理由がある。

米戦車メーカーのGeneral Dynamics Land Systems(ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ、GDLS)は戦車からウランを取り除き、タングステンと交換する必要がある。どちらの金属も問題になる可能性がある。

GDLSがオハイオ州リマにある政府所有の戦車工場でM-1A2を製造するのに6カ月かかる。「新しい」戦車は1週間に3両しか生産できない。戦車のベースには、米陸軍の兵器庫に眠っている数千台の余剰のM-1を使う。これらの装甲には劣化ウランのメッシュが使われている。

劣化ウランは原子力産業の副産物だ。米国では劣化ウランはエネルギー省の管轄下にあり、輸出規制の対象となっている。

だが、輸出禁止が必要だと誰もが考えているわけではない。米会計検査院は1986年にこの規制を疑問視した。「エネルギー省は確立された核不拡散の目標を達成しつつ、柔軟な対応を可能にするより客観的な基準を定めることができるはずだ」と力説した。

この輸出をめぐる規則が変わらない限り、米政府がM-1を外国に売却したり、供与したりするにはM-1から劣化ウランを取り除いて何か別のものに代えなければならない。

その別のものとはタングステンだ。タングステンは非常に硬い金属で、米国の戦車輸出の鍵を握っている。米国が同盟国にM-1を売るとき(イラク、サウジアラビア、オーストラリア、台湾、ポーランドなどが最近の顧客だ)、GDLSにだけM-1の砲塔の前面と一部のモデルでは車体前面の鋼鉄製の「ポケット」にタングステンを詰める費用を支払っている。

この作業には時間がかかる。GDLSだけがこれを請け負っているため仕方がない。「GDLSは現在、主力戦車エイブラムスに機密扱いの装甲を取り付けるのに必要な安全な装甲施設と生産設備を持つ唯一の請負業者だ」と米政府はこのほど同社への単独委託を正当化した。

タングステン装甲のM-1がウラン装甲のM-1よりも敵の砲火に対して著しく脆弱かどうかは不明だ。

続きはリンク先へ