※「文春オンライン」特集班18時間前

 東京狛江市の閑静な住宅街に1台のワンボックスカーが滑り込んでくる。車はある戸建ての前に停まるやおもむろにドアを開け、スーツ姿の男たちを吐き出した。2月6日、時刻は11時半。

 物々しい雰囲気はさながら映画のワンシーンのようだが、車を降りてきた男たちはお世辞にもコワモテとは言えない。男たちは5人ほどで記者の目の前で玄関先から車に至る動線を囲むようにそそくさと人垣をつくっていく。映画ならここで登場するのはマフィアのドン。そして果たせるかな1人の男が玄関のドアから姿を現した。

 ダウンジャケットを小脇に抱え、ネクタイの代わりに派手なオレンジのマフラーを巻いたスーツの出で立ちは、見ようによってはマフィアの親分にも見える。事実、彼は世田谷区という自治体のボスである、世田谷区長の保坂展人氏(67)だ。

普段から挨拶もしない人

 人垣を目隠しにして慌ただしく車に乗り込む保坂氏に質問が飛ぶ。

「公用車の運行状況について教えてください」

「文書で質問してください」

 保坂氏はそう言い残すと、不機嫌な表情を崩さぬまま車に揺られ住宅街の彼方に消えていった。後に残された「壁」役の男たちは世田谷区の職員だろうか。バツが悪そうに歩いてその場を離れていくのだった。

 月曜日の真昼間のこのひと騒動は、世田谷区と狛江市のちょうど境目にあたる住宅街で起こった。保坂氏の出てきた一軒家の住所は狛江市だ。近隣住民が語る。

「世田谷区の公用車が出入りしている様子はよく見かけますよ。世田谷区長の保坂さんはずっと狛江に住んでるからね。普段から挨拶もしない人なんであまり良い印象はないけど」

公用車に支えられた優雅なデュアルライフ?
 だが、ある世田谷区役所関係者はこう説明する。

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