青森市の横断歩道でひき逃げをしたとして道交法違反の罪に問われた同市の元タクシー運転手の女性被告(66)の控訴審判決で、仙台高裁は9日、懲役1年2月、執行猶予3年とした一審青森地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。

 深沢茂之裁判長は、被告が事故時に感じた車体の揺れや衝撃の程度は「雪の塊に乗り上げたと考えた」とする供述と矛盾しないと指摘。「人身事故を起こした認識があったと認めるには合理的疑いが残る」と結論付けた。

 2021年9月の一審判決は、横断歩道で事故が発生したことから「被告には人をひいたかもしれないという認識があった」と判断した。

 被告は20年12月29日午前0時10分ごろ、青森市本町1丁目の横断歩道上で、横になっていた70代女性をはねる事故を起こしたが、救護活動をせず、警察に報告しなかったとして21年1月に青森地検に起訴された。

 仙台高検の山崎耕史次席検事は「判決内容を検討の上、適切に対応したい」とコメントした。

河北新報 2023年2月9日 20:02
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