朝日新聞2023年2月10日 16時00分
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 東京都内で10日、私立高校の一般入試が始まった。都心で朝から雪がちらついたものの、目立った混乱はなかった。ただ、降雪予報を受けて終了時間を早める高校もあった。

 10日朝、朋優学院高校(品川区)では傘を差した受験生たちが次々に来校した。川崎市の女子生徒(15)は開場前の午前7時半過ぎに到着。「雪で電車が遅れるかもしれないと心配で、少し早めに来ました」

 豊島区の男子生徒(15)は交通機関の乱れを心配する母親(43)に付き添われて来校した。「帰りに電車が止まっていたら、迎えにいくから連絡してね」。肩についた雪を払いながら送り出す母親に、照れくさそうにうなずいてから会場に入っていった。

 同校は普通科の国公立TGコース(定員25人)に836人、国公立コース・特進コース(定員計270人)に1410人が出願。国公立TGコースの志願倍率は33・44倍で、都によると都内の私立高校(一般入試)では最高となった。尾崎威史(たけふみ)教頭は「高校募集を取りやめる中高一貫校が相次ぐ中、付属中のない高校として注目が集まったのでは」と話した。

 10日の降雪で、終了予定を変更した高校もあった。日本工業大駒場高校(目黒区)では、事前に面談を済ませている併願優遇入試の受験生への面接を取りやめた。一般入試は予定通り面接を実施したが、試験官を多く配置し、予定より早く試験が終わるようにした。学校側は「受験生の安全を考慮し、9日の段階で決めた」と説明する。

 東京純心女子高校(八王子市)は、5教科入試の受験生の昼食時間を予定より30分短縮した。「朝の天気予報を確認し、バスなどへのアクセスも考慮して決定した」という。国士舘高校(世田谷区)は、雪の影響で受験できないと連絡があった受験生には、後日追試を行うとホームページで事前に案内した。学校によると、以前からコロナに感染した受験生向けに追試日を設定していた。10日は雪による欠席者はいなかったが、11日の入試でも同様の対応を取るという。

 都によると、都内の私立全日制高校181校の計2万618人の募集定員に対し、1月27日時点の志願者は5万4090人。志願者数を定員で割った志願倍率(中間)は2・62倍で前年から0・2ポイント減った。学校別では、芝国際の最難関選抜・難関選抜・特別進学コースが12・34倍と朋優学院に次いで高く、青山学院高等部が11・83倍と続いた。(武田啓亮 塩入彩)