『太平洋を渡った無人兵器「ふ号」爆弾』

気球に搭載された爆弾の威力はたいしたものではなかったが、森林地帯や広大な草原に落ちれば大火災を引き起こしかねない。
さらにアメリカ側が恐れたのは、細菌を積んだ風船爆弾があるのではないかという事だった。
中西部の穀倉地帯へ病原体でも撒かれたら、それこそ穀物や家畜に大打撃を被る。
実際、日本側でもそれが検討されていた。
黒穂病のバクテリアや家畜用の牛疫ウイルス、はては炭疽菌までが検討されたが、アメリカからの報復を恐れて実現することはなかった。