2023年2月20日 12時00分

 政府が、新しい日銀の総裁と副総裁2人の人事案を明らかにした。学者、財務省、日銀出身の3人。日銀が難局を乗り越えるため、能力面で3人を好感する声が多いが、いずれも男性となり、期待された初の女性起用は見送られた。各国の中央銀行では女性の正副総裁は珍しくない。多様性やジェンダーバランスの観点で、日本の出遅れ感を指摘する声も上がる。(岸本拓也)

 政府は14日、黒田東彦総裁(78)の後任に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏(71)、副総裁には氷見野良三前金融庁長官(62)と内田真一日銀理事(60)を起用する案を国会に示した。

 岸田文雄首相は、植田氏の起用理由を「国際的にも著名な経済学者で、理論、実務両面で高い見識を有する」と説明。国際金融に明るい氷見野氏と、金融政策を支えてきた内田氏を加えた新体制案については「バランスの取れた陣容」(全国銀行協会の半沢淳一会長)と評価の声が上がる。

 一方で、果たされなかったのが女性の起用だ。日銀の正副総裁は過去すべて男性が占めてきた。金融政策の決定権を持つ正副総裁を含めた政策委員9人のうち、女性は1人だけという状況が長年固定化。英シンクタンクOMFIFが昨年公表した中央銀行のジェンダーバランス指数で、日銀は185行のうち142位という不名誉な評価を受けた。

 そんな中で、「個性と多様性を尊重する社会」を掲げる岸田首相が、正副総裁に女性を充てるのでは、という市場の期待は根強かった。米ブルームバーグのエコノミスト調査ではその候補に、日本総研の翁百合理事長や日銀の清水季子ときこ理事らの名が挙がっていた。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)でジェンダー平等が掲げられ、世界の中央銀行では女性トップが次々と誕生している。米連邦準備制度理事会(FRB)では、2014~18年にイエレン氏が女性初の議長を務めた。欧州中央銀行(ECB)でも、19年に国際通貨基金(IMF)専務理事のラガルド氏が女性初の総裁に。ロシアやベトナムのトップも女性だ。

以下略続きはソースで
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232211