「ミャンマー国軍は簡単には権力を手放さない」 民主活動家が潜伏先からインタビューで国際社会の支援訴え
東京新聞2023年2月19日 19時47分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232116
https://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/8/c/f/2/8cf25154a6fcaf5430b884d263266c94_1.jpg
12日、潜伏先からオンライン取材に応じるテイザーサン氏

 【バンコク=藤川大樹】ミャンマー国軍によるクーデター後、
初めて街頭で抗議デモを行った1人とされる民主活動家で医師のテイザーサン氏(34)が、
潜伏先からオンライン取材に応じた。
一部の州や地域で民主派による抵抗が続く中、
「国軍は簡単には権力を手放さないだろう」と長期戦を覚悟し、日本を含む国際社会に支援を求めた。

 テイザーサン氏はクーデターから3日後の2021年2月4日、
第2の都市マンダレーで20人規模の抗議デモを敢行。
その後、デモは全土に広がった。国軍は同氏の逮捕状を取り、行方を追っている。
 現在、身を隠しながらミャンマー国内を転々としているテイザーサン氏は、海外へ脱出しない理由を
「これは最後の戦い。多くのミャンマー国民と一緒に民主化を見届けたい」と説明。
「逮捕や死への恐怖心はあるが、子供たちの世代まで軍事政権の恐怖が続くことの方が怖い」と語った。
 国軍は今月1日、非常事態宣言を6カ月延長すると発表、
8月までに実施するとしていた総選挙は先送りされる可能性が高まった。
 テイザーサン氏は民主派が激しく抵抗するザガイン、マグウェ両地域などを例に挙げ
「軍政は地方では基地や警察署がある町しか支配できておらず、かなり自由に移動ができている」と強調。
「(最大都市)ヤンゴンや(首都)ネピドーなどの都市部だけで
 『見せかけの選挙』を実施することはできたとしても、全土では不可能だ」と述べた。
 各地で誕生した民主派の武装組織「国民防衛隊(PDF)」は以前と比べれば、統制が取れてきたという。
ただ、インターネットの通信環境が悪いことから「PDF同士の連携が取りづらいのが課題だ」とした。
 今後については「軍が簡単に権力を手放すとは思えず、短期間で決着がつくことはないだろう」と見通す。
その上で
「『長期戦』になると国民生活への影響が大きいため、『中期戦』で終わらせたい。
 そのためには各勢力が力を合わせるとともに、国際社会の支援が不可欠だ」と訴えた。

関連
母と弟が殺され、故郷には火が放たれた…ミャンマー国軍が採る「四断戦術」の狙いとは 東京新聞2023年1月28日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/227799
ミャンマー軍 日本ミャンマー協会会長ら表彰 親密関係を主張か NHK 2023年2月21日 8時38分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230221/k10013986451000.html
【ミャンマー】米、追加支援5000万米ドルの実施を決定 NNA2023年2月20日
https://www.nna.jp/news/2483060
EU、イランに追加制裁 人権弾圧で、ミャンマーにも 時事2023年02月21日05時42分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023022100110&g=int