新型コロナウイルス感染者や感染疑いのある人が、医療機関を受診しようとした際に「対応していない」と言われ診療を断られる問題を巡り、神奈川県は、五月に感染症法上の位置付けが二類相当から五類に変わった後に診療拒否があれば、医師法で定める「医師の応召義務」に違反する可能性があるとの見方を示した。一日の県議会厚生常任委員会で、足立原崇・医療危機対策本部室長が答弁した。
 一類や二類など危険性の高い感染症の場合、応召義務から除外するとの通知が厚生労働省から出ており、足立原室長は「二類相当の現状では応召義務違反に当たらない」とした上で、「五類に移行したらこの規定から外れる。『診療しない』とは言えないと理解している」と答弁した。
 ただ、それでも診療に対応できない医療機関があるとの見方を示し、五類移行後も新型コロナを含む発熱患者を受け入れる医療機関のリストを公表する考えを示した。
 新型コロナ感染者の診療を巡っては、建物の構造で感染防止策を十分に取れないなどの理由で拒否する医療機関があり、一部の医療機関に受け入れの負担が集中していた。現在は「発熱診療等医療機関」として県に登録する制度があるが、五類移行後は制度がなくなるため、診療態勢が継続できるのか不安の声が上がっていた。(志村彰太)

東京新聞 2023年3月5日 07時41分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/234724?rct=kanagawa