東京電力福島第一原発事故の放射能汚染で空間線量が毎時3・8マイクロ・シーベルトを上回る高線量地点について、福島県環境創造センターなどの研究チームは6日、2021年3月時点で事故直後より約97・5%減少したと発表した。政府は避難指示解除について3・8マイクロ・シーベルト以下を基準としている。同センターは調査の目的について、「県全域で放射線量が着実に減少した現状をわかりやすく伝えることを目指した」と説明している。

 同センターは、11年5月から21年3月に定置型の計測器や航空機搭載の計測器などで測定された計約16億点の公開データを活用。県全域を500メートル四方の5万4722地点に分け、コンピューターで空間線量を算定した。

 その結果、3・8マイクロ・シーベルト超の地点は、11年5月の3010地点から21年3月に76地点と、大幅に減少した。

 住宅地や農地を中心に除染が進んだほか、放射性物質が時間とともに崩壊する「自然減衰」や、放射性物質が吸着した土壌の一部が雨で海に流れ出たことなどが影響したとみられる。

 一方、76地点は、事故直後に「プルーム」と呼ばれる放射性物質を含む大気の塊が通り、高線量になったとされている。当時の気象条件により、原発から北西方向へ連なっている。

 帰還困難区域では、優先して除染を進める特定復興再生拠点区域(復興拠点)での避難指示解除が進められている。政府は拠点外についても、希望する住民の生活範囲を除染し、20年代の帰還を目指している。

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