世界最大の天然ガス輸出国ロシアによるウクライナ侵攻は、欧州発の液化天然ガス(LNG)争奪戦を招き、日本のLNG調達も困難を極めた。火力発電や都市ガスに使われるLNGのほぼ全量を海外に依存する日本はエネルギー安定供給に向けて官民挙げての対応を迫られている。

中東産資源外交、官民を挙げて
 2022年9月7日夜。西村康稔経済産業相は東京都内のレストランで、ある資源外交に臨んでいた。交渉相手は、中東オマーンのウーフィー・エネルギー鉱物資源相。初対面だった。

 「長期的には脱炭素は必要だが、中期的にはLNGが重要だ」。西村氏は、日本として可能な限り多くのLNGをオマーンから調達したい意向を強くにじませた。

 オマーンは22年春、25年から10年間程度のLNG供給契約(年1100万トン)を国際入札にかけ、日本を含む世界のエネルギー企業約80社が殺到した。「成果重視の人物」(エネルギー関係者)とされるウーフィー氏は、好条件の契約を見定めるために各国を行脚していた。

 インド洋に面したオマーンは、産油地帯ペルシャ湾の入り口にあたるホルムズ海峡を通過する必要…(以下有料版で,残り2297文字)

毎日新聞 2023/3/7 05:30(最終更新 3/7 05:30) 有料記事 2771文字
https://mainichi.jp/articles/20230304/k00/00m/020/215000c