<激戦地バフムートの前線で、ウクライナ軍兵士は民間軍事会社ワグネルの傭兵の異様な戦い方を目撃。違法薬物を使っているとしか思えないと証言した>

ウクライナ東部の要衝バフムートでの攻防が激しさを増すなか、ウクライナ軍兵士から、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの戦闘員は違法薬物を使用しているに違いない、という証言が飛び出した。

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2月24日に2年目に突入したロシア・ウクライナ戦争だが、その最前線は、昨年秋からバフムートに移っている。ロシア軍兵士が同市をほぼ包囲し、双方ともに大きな損害を被っている。

ウクライナの英字紙キーウ・ポストによると、ロシア軍は猛烈な攻撃を仕掛けており、ウクライナ軍と比べて兵士の損失割合が7:1で多い。だが、損失が多いからといって、ロシア軍が攻撃の手を緩める気配はない。

ウクライナ軍は数カ月にわたってバフムートを維持してきたが、最近、軍幹部らは防衛強化のためにバフムートから戦術的撤退を検討していた。だがキーウ・ポストは3月6日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が軍幹部に対し、バフムートで戦う部隊を助けるために適切な戦力の増強を指示し、兵士には戦いを続けるよう求めたと報じた。

キーウ・ポスト紙の独占インタビューに応じたあるウクライナ軍兵士は、ワグネルの戦闘員の非人道的な行為について語った。傭兵たちの戦い方があまりにも異様なので、薬物を使っているに違いないと感じた、と兵士は言う。

<死体ですべてが覆われる>

「連中は間違いなく何らかの薬物を服用していると思う。正常な心理状態の人ならしないようなことをするからだ」。レシーと名乗るその兵士は語った。

レシーはウクライナ軍から銃撃を受けながら塹壕を掘るワグネルの戦闘員の様子を説明した。塹壕を掘る戦闘員が殺されると、別の戦闘員がその代わりをする、という。

「死んだやつを押しのけ、次のやつが出てきて掘り始める」と、レシーは語った。「次のやつを殺す、と同じことの繰り返しだ。連中は3日間、これを続ける」

極寒の中、Tシャツ1枚で行動している者もいて、ワグネルの兵士が正常な判断力をもって行動しているとは思えない、とレシーは言う。

「彼らは犠牲者など気にしていない。何もかもが死体で覆われていた」

ワグネル・グループの創設者エフゲニー・プリゴジンはウクライナ戦争において、主に戦闘に参加する傭兵を調達することでロシアを支援してきた。ワグネルの傭兵の多くはロシア人受刑者だ。

ワグネルは、部隊を離脱したり、セックスをしたり、薬物を使用したり、アルコールを飲んだりしてはいけないなど、傭兵に厳しい規則の遵守を要求すると言われている。兵士たちは戦闘に従事する引き換えに、罪の赦免を約束されている。

<戦死者への関心が低い>

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン上級顧問は、ワグネル・グループはウクライナにおいて地歩を固めるためなら、犠牲者を出すことも厭わない、と本誌に語った。

「ロシア軍は全体として、NATO諸国の軍に比べて死傷者を出すことへの抵抗が低い。だがワグネルは刑務所にいる囚人を採用しているため、他のロシア軍部隊なら攻撃をやめるところでも、進んで攻撃を続ける」と、カンシンアンは言う。「ウクライナ軍の防衛は比較的成功しているとはいえ、ワグネルの兵士たちの執拗さは、大きな負担になっている」

3月4日、プリゴジンはロシアが勝利に近づき、バフムートは包囲されたと主張した。だがその数日後には、必死で弾薬の供給を嘆願する羽目に陥った。

戦争の戦略専門家たちは、ウクライナが数週間、バフムートの前線から戦術的に撤退すると予想していた。しかし、プリゴジンは最近、同地域でウクライナ軍の兵士の増員が続いていると報告した。この冬の間、戦いは膠着状態になっていたため、ロシアが今回バフムートを占領すれば、数カ月ぶりにどちらかの側が確実に地歩を築いた、ということになる。

3/8(水) 18:19配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/c5eac6ce7e162ea774138eb94756776b9d26d5ff
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