大阪府吹田市の交番で警察官を刃物で刺し拳銃を奪った罪に問われた被告の男性の控訴審で、大阪高等裁判所は1審判決を破棄し、無罪判決を言い渡しました。

飯森裕次郎被告(36)は、4年前に吹田市の千里山交番で警察官を包丁で刺して拳銃を奪った、強盗殺人未遂などの罪に問われていました。

1審判決で大阪地裁は、「犯行前後に合理的な行動を取っていて、全く責任能力を欠いていたとは言えない」として、懲役12年の実刑判決を言い渡しました。

弁護側は控訴し、これまでの裁判で「責任能力について事実誤認があり、量刑も不当だ」として、1審判決の破棄を求めてきました。

20日の判決で、大阪高裁は1審の有罪判決を破棄し、無罪を言い渡しました。

判決で大阪高裁は「警察官から拳銃を奪った目的は幻覚や妄想を基盤とした指示性を伴う幻聴などの病的体験に基づく極めて唐突かつ奇異なもの」「被告人には相応に高い精神機能が残されていたと認められるが、それは統合失調症に基づいて形成された動機や目的と一体化し、これを実現するための推進力として作用した」と指摘。

その上で「重い統合失調症による病的体験に直接支配されて行動制御能力を喪失していて、心神喪失の状態だった」として、責任能力がなかったと認めました。

一般に、心神喪失などの状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に対しては、検察官は「医療観察法」による医療及び観察を受けさせるべきかどうか地方裁判所に申立てを行います。

申立てにより、鑑定を行う医療機関での入院等が行われるとともに、裁判官と精神保健審判員(必要な学識経験を有する医師)の2人からなる合議体による審判で、「医療観察法の入院による医療」などの処遇について決定が行われます。

無罪判決後、申し立てまでの期間は、措置入院となるケースが一般的です。

3/20(月) 14:50配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/c1e6443a0f002b9d607141c1c64711f5061aa27b
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