あいテレビ 3/24(金) 21:14

「5年間、裁判での『嘘』に苦しんだ」
「障害があれば何をやっても許されるのか」

娘を奪われた母親とその親族は、2度目となる松山地裁の法廷で、やり切れない思いを訴えた。
地裁での審理を経て控訴審、更に上告、そして棄却。
事件の発生から既に5年が経ち、長引く裁判に翻ろうされていた。
判決で認定された事実を元に、事件と裁判を振り返る。

◇◇事件発生は5年前

今から5年前、2018年2月に事件は起きた。

13日、愛媛県今治市の会社敷地内から、運送会社に勤めていた、当時30歳の女性の遺体が見つかった。乱暴された痕跡が残る体には、首を手で絞められた跡、さらに被害者が着用していたタイツが首に巻き付けられていた。

翌日、同僚の男が殺人容疑で逮捕された。
西原崇被告、当時34歳。
犯行当日の夜、西原被告と被害者の女性は2人きりで仕事をしていた。被害者とは10日前に知り合いったばかりだったが、西原被告は一方的に好意を寄せていた。

職場での様子を知る関係者は、西原被告が被害者の女性と2人きりで仕事することに「異様に興奮していた」と振り返る。

◇◇「犯行当時の精神年齢は9歳」無罪主張

同年3月7日、松山地検は殺人と強制わいせつ致死の罪で西原被告を起訴。
10月16日に松山地裁で始まった裁判員裁判の初公判で、西原被告は起訴内容を否認した。

弁護側は、殺意を否定した上で、「西原被告には軽度の知的障害があり、犯行当時の精神年齢は9歳程度だった」「ストレスなどで行動をコントロールできず、犯行当時の記憶も失っていた」「精神障害の影響で心身喪失状態だった」として、無罪を主張。

仕事上での作業の進め方をめぐり女性に怒りを覚えた末の、無自覚な犯行だったと述べた。

◇◇ドラレコのSDカード抜き取り「責任能力ある」

一方の検察側は、犯行現場に止められていたトラックのドライブレコーダーからSDカードを抜き取るなど、西原被告が証拠隠滅を図っていたことなどを挙げ、知的障害の程度は軽く、刑事責任能力はあると述べ、無期懲役を求刑した。

◇◇「強制わいせつ致死」退け懲役19年

11月13日に行われた判決公判で、松山地裁の末弘陽一裁判長(当時)は、突発的な殺意による犯行とした上で、「殺人罪」と「強制わいせつ罪」を認定。

しかし「強制わいせつ致死」の成立については「合理的な疑いが残る」として退け、西原被告に懲役19年の判決を言い渡した。

11月27日までに、弁護側と検察側の双方が控訴。
審理の場は高裁へと移った。

◇◇高裁が「裁判のやり直し」命じる

2019年12月24日、高松高裁は、「明らかな事実誤認がある」として一審判決を破棄、審理の「やり直し」を松山地裁に命じた。

差し戻しの理由の中で、高松高裁の杉山慎治裁判長は「殺人罪と強制わいせつ致死罪の成立を前提にするのが相当」と述べた。

差し戻しを命じる高裁判断を受け、西原被告の弁護側は最高裁に上告したが、棄却された。

◇◇4年越し、2度目の地裁での審理

2022年12月5日、再び松山地裁で始まった「やり直し」の裁判員裁判。
最初の裁判から既に4年が経過していた。

争点を「わいせつ行為の有無」「最初に首を絞めた時点での性的目的の有無」に絞り込んで開かれた差し戻し審の初公判で、弁護側は「わいせつの意図はなかった」として起訴内容を一部否認した。

2023年3月3日。
新型コロナの感染拡大などを受け、審理はさらにずれ込んでいた。

この日の裁判では、朝から証人尋問が行われ、被害者参加制度により参加した被害者の母親や親族も被告人に対して意見陳述を行った。

松山地裁41号法廷には、証言者のプライバシーを保護する目的で、目隠しのパーティションやアコーディオンカーテンがすき間なく並べられていて、傍聴席の最前列に座った記者の目の前に、大きな壁のように立ちはだかる。
そのすき間をぬうようにして、慌ただしく裁判所職員が動き回る。

ほどなくして、静まりを取り戻した法廷内に、すすり泣いているのだろうか、パーティションに取り囲まれた証言台に立つ女性の存在に気付く。
西原被告の母親だ。

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https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/82627aa18e762644b2c7a227929a0febdbb62d80&preview=auto