身よりがなく経済的に困窮して亡くなった人の葬祭費を市区町村などの行政が負担するケースが増えている問題で、総務省は初めて実態調査をし28日、発表した。親族などの引き取り手がいない死者の数は2018年4月から21年10月までの間に、10万5773件に上った。

 このうち、約半数にあたる5万5424件は遺留金がなく、行政が葬祭費などを負担した。市区町村が支出する葬祭費の基準額は一件あたり約21万円で、概算すると116億円程度の葬祭費を行政が負担した可能性がある。

 また、死者が残した遺留金の合計は約21億5千万円で、預貯金だった場合は、金融機関に拒まれ、引き出すことができないケースもあった。松本剛明総務相はこの日、行政が遺留金を葬祭費として口座から円滑に引き出せるよう、厚生労働省と法務省が連携して法的根拠を記した手引を配布するなどして、市区町村や金融機関に周知するよう勧告する。(森下香枝)

朝日新聞 2023年3月28日 9時43分
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