能美市緑が丘の芳珠記念病院は、嗅覚が鋭い微小動物の線虫を利用し、がんの早期発見につなげる「線虫がん検査」の予約受け付けを始めた。少量の尿を採取するだけで調べられる。健康診断や人間ドックのオプションとして、四月から利用できるようにする。線虫がん検査の導入は北陸三県の医療機関で初めて。
 線虫は犬の一・五倍の嗅覚があるとされ、がん細胞から分泌される匂いに集まる性質がある。これを利用し、バイオベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」(東京都)が開発した方法での検査について、今月から予約を受け付けている。
 具体的には、受診者に事前に渡すキットで少量の尿を採取してもらい、同社に送付。尿に含まれる匂いに対する線虫の反応から、がんの罹患(りかん)の恐れがあるかどうかを調べる。早期がんのリスクも高い精度で検知できる。がんの種別の判定はできないが、胃や大腸、肺など十五種類のがんに線虫が反応することが確認されている。
 罹患の恐れがあると判定されれば、さらに精密な検査を勧め、がんの診断や治療につなげる。同病院健診センター統括室の安井裕子室長は「『がん家系』の人や喫煙者、五十代以上の人に利用を勧めたい」と話す。検査料金は一回一万四千八百円(税込み)。(問)芳珠記念病院ほうじゅ健診センターEir(エール)0761(51)555X (平野誠也)

中日新聞 2023年3月29日 05時05分 (3月29日 10時31分更新)
https://www.chunichi.co.jp/article/662115