沖縄タイムス2023年3月30日 11:32
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1127857

 ヘイトスピーチに対応する「沖縄県差別のない社会づくり条例」が30日、県議会2月定例会最終本会議で可決、成立した。賛成多数(賛成29、反対18)だった。ヘイトスピーチ発言者の氏名公表制度が都道府県条例で初めて導入されるなど、沖縄県の差別対策が一歩を踏み出す。

 条例案には玉城デニー知事の与党4会派と中立の公明と無所属の会、さらに無所属2氏が賛成した。沖縄・自民18氏が反対に回った。

 条例は、外国ルーツの人々に対するヘイトスピーチが公共の場で起きた場合、発言の概要や氏名を県のウェブサイトなどで公表する。事前に学識経験者でつくる審議会と発言者自身の意見を聞く。

 2016年に制定された国のヘイトスピーチ解消法と異なり、観光客や非正規滞在の人も保護対象に含めた。

 沖縄の人々に対するヘイトスピーチを「県民であることを理由とする不当な差別的言動」と定義。性的指向や性自認を理由にした差別と合わせ、県が「解消に向けた施策」を講じると定める。外国、沖縄、性的少数者の全ての属性で、ヘイトスピーチに罰則は科さない。

 3年後をめどに条例の効果を検討し、必要があれば見直す規定を設けた。23年度は差別に関する電話相談を始め、事例を収集する。