「注文に時間がかかるカフェ」(注カフェ)と銘打ち、滑らかな発音を苦手とする若者が接客に挑戦する催しが2日、仙台市内で1日限定で開かれた。吃音(きつおん)の当事者や関係者らが交流を深めた。

 注カフェは吃音の若者が自信を付け、社会の理解を促す場として2021年8月に東京都内で始まり、東北では初めて。各地で開催してきた当事者の奥村安莉沙さん(31)=東京都=が今回の発起人となり、仙台市のアルバイト過心杏(すぐるこのん)さん(19)が企画した。

 宮城野区榴ケ岡のレストランを借りて、県内外の約30人を接客した。過さんは、当事者への一般的な対応方法を紹介するボードを示しながら「言葉がうまく出ないが、他の人と同じように接してもらえるとうれしい」などと説明。コーヒーや紅茶、ジュースなどを無料提供し、懇談した。

 当事者で青葉区の阿部勝さん(48)は「接客はスムーズでアイスティーがおいしかった。同じ立場の人と接することができ元気をもらった」と喜んだ。吃音がある長男柊平(しゅうへい)君(11)も「安心する場があるのはすごくいい。将来は言語聴覚士になり、吃音を持つ人と一人の人間として向き合いたい」と目標を語った。

 過さんはこの日、中学時代の恩師と旧交を温める場面もあった。「勇気を出して地元で注カフェを開いた。当事者も、吃音のことをあまり知らない方にも話を真剣に聞いてもらい、とてもうれしい」と感謝した。

河北新報 2023年4月3日 6:00
https://kahoku.news/articles/20230402khn000027.html