0001七波羅探題 ★
2023/04/12(水) 09:32:52.78ID:GZjxlNlu9https://www.asahi.com/articles/ASR3X427HR3TUOOB005.html
長野県は移住者にとって全国的に人気が高い。ただ、直近の選挙が無投票だった市町村議会の割合は40%近くと全国ワーストで、議員のなり手不足に悩む地方の一つでもある。過去20年間で4度の無投票選挙を経験した山村の事例を追った。
移住したい都道府県で17年連続1位
長野県南端の売木(うるぎ)村は1千メートル級の山地に囲まれた人口500人ほどの村だ。昨年、村が近隣の大学と共同で作成したガイドブックの表紙には「共住」という言葉がある。この20年間で200人以上、人口が減り、現在住民の3割以上を移住者が占めている。
月刊誌「田舎暮らしの本」が集計した2023年版「移住したい都道府県」ランキングで、長野は17年連続の1位。県のまとめによると、県外から長野に来た移住者は21年度が2960人。新型コロナ感染拡大前の17年度(1908人)から純増が続く。
売木村で移住者が働く場は飲食店やカフェといった民間にとどまらない。一昔前は地元の職員だけだった役場も今は半分が村外出身。とはいえ「参入」が容易でない分野もある。村議会議員だ。
3年前の村議選(定数7)は立候補が6人にとどまり欠員1になった。その後、議員が1人亡くなり、欠員が定数の6分の1を超えたため補選に。それでも立候補したのは1人で、今も欠員1のままだ。議員の中に移住者はいない。
12万1千円の議員報酬は県内最低で、全国的に見ても低い。ただ、最近まで議員を務めた移住者の男性に聞くと、なり手不足の理由はそれだけではなさそうだ。
「親戚選挙」に感じた戸惑い
木下浩二さん(59)は元々、名古屋の飲食店に勤務していたが、村で働いていた母親に誘われて24歳のころに村内の施設で料理人として働くことになった。そして約20年後の08年、村議選に立候補した。
かつて村では激しい選挙戦が繰り広げられていたという。しかし、人口減と並行し2000年以降は欠員による再選挙や補選をのぞいて6回あった選挙のうち4回が無投票だった。
選挙の際に街頭活動をする候補者を見たことがほとんどなかったと木下さんは振り返る。縁戚などを頼る「親戚選挙」という言葉を聞くこともあった。「こんなことでいいのか」。初めて立候補する時はそんな思いがあったという。
木下さんは地元住民の中にゴルフ仲間がいたり、消防団長や商工会長を務めたりしていた。3期を務め引退した今思い返すと、地域に溶け込んでいたから挑戦できた部分があったと話す。
村になじむ人となじめない人がいる
村になじむ人がいる一方で、何年いても交流しない人、「村のやり方」と折り合えない人がいることはたびたび村議会でも指摘されてきた。コメ作り一つとっても田への水の引き方、雑草の始末の仕方など決まり事がある。
「強制ではないが、まずは地区のイベント・草取りなどの共同作業に参加を」。村のガイドブックが移住希望者に向けてそう呼びかけるのは裏返しの現実があるからだろう。
狭い集落は「隣の家の懐が見えるぐらい」に距離感が近い。村のやり方への疑問を口にしたことが、誇大に、否定的に広がっていくこともあるという。
過去に新人発掘を試みてきたという現職議員に話を聞くと、声をかけた数人はみな、村の事情に明るい「Uターン」の男性だという。女性は「家」の事情、移住者は地域の事情を考えて声はかけなかったという。
村の現状について木下さんにたずねた。「中には(移住者のやり方に)理解を示す人はいる」とした上で「新しいことにもう少し耳を傾けたらどうかなと思う」。
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