「雑な扱い」知ってほしい 非正規公務員の雇用に不安 実態調査なし 労組に入れない例も
2023年4月18日 06時00分 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/244712


統一地方選の最中、自治体を支える非正規の地方公務員が雇い止めされている。毎年3月末が任期で契約が更新されないことを恐れて声が上げられず、職場の劣化が静かに進む。辞めざるを得なかった当事者からは「選挙の機会に議員や住民に実態を知ってほしい」と訴える。(畑間香織)

非正規地方公務員 総務省によると、2005年の45万5840人が20年は約1.5倍の69万4473人と増え続けている。財政難を理由に減らしてきた正規職員からの「置き換え」が進む。職種は事務職や教員、保育士、給食調理員、図書館職員、婦人相談員など多岐にわたる。

◆「数十万人の雇い止め」懸念も国は「調べていない」

「黙って言われた通りに働くか、辞めるかの二択しかない」。こう話すのは、東京都立高校で非正規の外国語指導助手(ALT)だった米国出身のメアリー・ダガティさん(73)だ。約20年も英語を教えていたが、3月末に雇い止めされた。

2020年度の新しい制度見直しで、非正規の任期は1年と法律に明記。契約を更新されるかは自治体の判断次第で、ダガティさんは雇い止めの理由を「待遇の改善を求めて都側と交渉したことへの報復」と疑う。「使い捨てにできて働く人に無力感を抱かせる」と話す。

今年の3月末はこれまでよりも多くの雇い止めが行われた可能性が高い。新制度に合わせ、総務省は自動更新は2回まで、との方針を示し、これにならった自治体が多いためだ。3年を超える継続の雇用を希望する場合はあらためて採用試験を受ける必要がある。

このため以前から支援団体は「数十万人の雇い止めが発生する」と訴えていた。だが、同省は取材に「(状況を)調べていない」と回答。実態調査すら行われていない。統一地方選で一部の野党が雇用環境の改善や正規化を公約に入れたが、議論は深まっていない。

◆「公務の現場がやせ細る」

職場の仲間として扱われない非正規もいる。九州地方でひきこもりの相談支援員だった50代女性は「声を聞いてほしい」と、正規が中心の労働組合に加入を求めたが、相手にされなかった。上司には仕事を続けるなら公募面接を受けるようにと1月に突然言われ、3月末で退職した。


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