【北京=川手伊織】中国国家統計局が18日発表した2023年1-3月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比4.5%増えた。22年10-12月の2.9%増から加速した。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策が終わり、外食や旅行などサービス消費が持ち直した。不動産開発や自動車販売は成長の足を引っ張った。

1-3月の前年同期比増加率は、日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調べた市場予想の平均(3.4%)を上回った。

季節要因をならした前期比での伸び率は2.2%だった。22年10-12月(0.6%)から拡大した。先進国のように前期比の伸び率を年率換算した成長率は9.1%程度となる。

生活実感に近い名目GDPは前年同期から5.5%拡大した。22年10-12月の増加率は3.5%だった。

18日はGDPと同時に他の統計も公表した。

百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した1-3月の社会消費品小売総額(小売売上高)は5.8%増加した。全体の1割を占める飲食店収入が13.9%増と大きく伸びた。

対照的に耐久消費財はさえなかった。自動車は2.3%、通信機器は5.1%それぞれ減少した。国内消費は明暗が分かれた。

工場の建設などを示す固定資産投資は5.1%増だった。22年通年と同じ伸びだった。政府が景気下支え役として期待するインフラ投資が引き続き堅調だった。

一方、地方経済が依存してきた不動産開発投資は5.8%減少した。新築住宅の販売面積が1.4%のプラスに転じたが、在庫の圧縮が進み新たなマンション開発が増えるまでには時間がかかりそうだ。

外需は経済成長率を押し上げる要因となった。輸出から輸入を差し引いた1-3月の貿易黒字は前年同期を3割超上回った。東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが好調だった輸出が増加した一方、耐久消費財などの国内販売が振るわず輸入は減少した。

1-3月の生産は3.0%増で、22年通年の伸び(3.6%)には届かなかった。販売不振をうけ自動車やパソコンの生産量が落ち込んだ。

4-6月の実質経済成長率は1-3月より拡大するとの見方が多い。前年同期からの反動増という要因が強い。上海市が22年春、新型コロナの感染拡大を封じ込めるためロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、中国経済全体が混乱した。

企業や家計の先行き不安を拭い、投資や消費など内需の拡大で成長を加速させるには雇用や所得の改善が欠かせない。

日本経済新聞 2023年4月18日 11:00 (2023年4月18日 11:36更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM129KG0S3A410C2000000/