共同通信 4/20(木) 10:02

 北海道の障害者グループホームで、結婚や同棲を希望する知的障害者16人が運営法人から求められ、不妊手術や処置を受けていたという問題が昨年、明らかになった。だが、全国には周囲の反対や重い障害があっても結婚した当事者カップルたちがいる。どうやって暮らしているのか。いろいろ大丈夫なのか。訪ねてみると、それぞれの事情と決断があった。(共同通信=市川亨、沢田和樹)

 ▽言えなかった「結婚したい」

 名古屋市の度會(わたらい)俊介さんと菊代さん夫婦は、お互い62歳で昨年秋に結婚した。障害者手帳(療育手帳)の4段階の等級で俊介さんは4番目(軽度)、菊代さんは3番目(中度)だ。

 2人が知人を通じて知り合ったのは、30年ほど前のこと。菊代さんが「優しくて頼りがいがある」と俊介さんに好意を寄せ、デートするようになった。

 その後、知的障害者の親らでつくる「名古屋手をつなぐ育成会」で、障害のある本人たちによる「青年の会」が結成され、一緒に活動。仲間同士で旅行や学習会を催した。俊介さんは「会の活動でいろいろなことを知り、自分たちにもできることがあると自信がついた」と振り返る。

 菊代さんは「昔から心の中では『結婚したい』と思っていたけど、周りに反対されるだろうと言えなかった」と打ち明けた。

 ▽「いい夫婦の日」に入籍

 2人が結婚を現実的に考え始めたのは50歳前後になってからだ。当時、菊代さんはグループホームで生活。俊介さんも福祉事業所の支援を受けていたが、お互いの親が亡くなったり介護が必要になったりして、2人で支え合って暮らせないかと思うようになった。

 ところが、家族やホームの職員ら支援者に結婚の希望を伝えると、「『2人で生活するのは無理だ』と猛反対された」(俊介さん)。

 「一緒になれないんだったら、死んでもいい」とまで思った俊介さん。菊代さんの母親の認知症が徐々に重くなり、俊介さんが介護を手伝うようになると、自然と3人で一緒に生活する時間が長くなった。

 周囲が結婚の条件として提案した「成年後見制度」の利用も俊介さんは受け入れた。この制度でお互いに弁護士が付いたこともあり、家族らが折れる形に。俊介さんの誕生日で、「いい夫婦の日」でもある昨年11月22日、晴れて入籍した。今年2月には支援者ら30人余りを前に報告会を開き、祝福を受けた。

 名古屋手をつなぐ育成会の元役員、永田尚子さん(68)は10年以上前から相談を受けていた。「頑固なくらい2人の思いが変わらず、周りに訴え続けたことが家族や支援者の気持ちを変えたのだと思う」と話す。

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結婚を前にした記念撮影に納まる度會俊介さん(左)と菊代さん=2022年6月、愛知県犬山市(本人提供)
https://i.imgur.com/0Kf9LTD.jpg