※2023年04月20日 09時00分
GIGAZINE

古い小説等を読むと、「作中には、差別的・不適切な表現が当時の表現のまま記されている場合がありますが、差別的意識を容認したものではなく、歴史的資料として残しています」といった注意書きがされていることがあります。古典作品には実際に、偏った見方や現代では差別的として使わなくなった表現が用いられていることがありますが、アメリカの保守系メディアのNational Reviewは、「古典の差別的表現を嫌う現代の敏感な読者により、古典の内容がゆがめられているケースが多くあります」と指摘しているほか、不適切な表現を指摘する専門家の「センシティブ・リーダー」に関して批判的な意見を述べています。

「チャーリーとチョコレート工場」の原作となる「チョコレート工場の秘密」などで知られるイギリスの小説家であるロアルド・ダール氏の作品において、新しいバージョンをリリースする際に文章表現を大きく変更することが発表されました。この変更にはイギリスのリシ・スナク首相やカミラ王妃なども批判的な意見を述べたことから「表現の自由」に関する大きな論争を巻き起こし、出版社は「古典そのままのバージョン」「表現を現代風に変更したバージョン」に分けて両方リリースすることになりました。また、アメリカで高い人気を誇る子ども向けホラー小説シリーズ「グースバンプス」でも同様の変更が作者の許可無く行われ、大きな問題となりました。

古典における人の体格、人種、民族性などに関する文章が現代の感性に合わせて変更されるケースは、アガサ・クリスティの作品でも起きています。クリスティはミステリー小説におけるキャラクター設定のテクニックとして、あえて特定の職業や民族を頻繁にコミカルな演出で描いていたと言われており、そのいくつかは問題のある表現として、作者の死後である現代の新バージョンにおいて変更されています。例えば、エルキュール・ポアロシリーズの「ナイルに死す」では、登場人物が子どもたちのグループを指して「彼らの目と鼻は嫌なもので、私は子どもが好きだと思えません」と不満を述べる部分がありますが、この部分は最新のバージョンでは削除されています。また、「ニヤニヤした黒人」と表現されていた使用人は、笑ってもなく黒人でもなく、単に「使用人はうなずく」とだけ表現されています。

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