読売新聞2023/04/26 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230425-OYT1T50283/

 政府は、人工知能(AI)にかかわる国家戦略を検討する新たな「戦略会議」を設ける方針を固めた。急速に利用が広がる対話型AI「チャットGPT」などAI全般について、政策の基本的な方向性を示す司令塔の役割を担う。AIの課題について、活用や研究開発の促進と、規制強化の両面から議論する見通しだ。

 AIの技術に通じた学者や研究者のほか、法律関係などの有識者らと、政府関係者が参加する方向で調整している。

 会議は、政府が24日に初会合を開いたAI政策の関係省庁による「AI戦略チーム」の上位に設け、方針を政策に反映させる。今月末に開かれる先進7か国(G7)デジタル・技術相会合の議論も踏まえ、国内ルールのあり方を検討する。内閣府の会議として5月にも発足させる見通し。

 チャットGPTなどのAIは、精度向上に大量のデータを学習させる必要があり、個人情報が無断で収集される懸念があるほか、生成した内容が著作権を侵害するといった問題が指摘されている。一方、AIの活用を進める観点から、法制度を緩和する方向で見直しが必要になる可能性もある。

 会議では、対話型AIを教育現場や行政、企業が使う際の課題や、国産のAIの研究開発をどう進めるかなども議論する見通しだ。

 日本はこれまで、技術革新を妨げないようAIをできるだけ規制しない方向で議論を進めてきたが、欧米では規制強化の議論が広がっている。

 会議では欧米の議論の動向を注視しながら対応を検討することになりそうだ。

 利用者の質問に自然な文章で答える「チャットGPT」は急速に利用が広がっている。経済成長の起爆剤として積極的に導入すべきだとの意見がある一方で、誤った情報を信じやすくなったり、学習に悪影響が出たりするといった問題も指摘されている。高度なAIの登場で社会のあり方が大きく変わる可能性があり、専門家による会議で課題に対応することにした。