政府の経済財政諮問会議(議長=岸田文雄首相)は26日、少子化対策によってどれくらい出生率や人口を増やせるかの試算値を公表した。児童手当や住宅支援などの支出を国内総生産(GDP)比で1%程度(約5兆円)増やすと、出生率が0.05-0.1上がり、対策をとらない場合と比べて2060年時点の人口が90万-180万人増えるとしている。

 長期的な政策投資の効果を分析することで、どういった政策を優先すべきかを議論する狙いで、同会議の民間議員4人が提出した。先行研究から出生率の上昇に効果がありそうな高等教育や住宅支援の拡充、男性と女性の家事時間の格差解消などのデータを抽出して、効果を分析した。

 男性の家事参加を経済協力開発機構(OECD)加盟国のうちデータのある30カ国の平均まで引き上げると、女性の家事や育児の負担が減り、出生率が0.1上がるという。働く人の所得が毎年2%上昇した場合も0.1上がり、若年層に重点的に賃上げの原資が配分された場合はさらに0.1上がるという。

 試算は、合計特殊出生率が21年時点の1.30から30年にかけて一定のペースで上昇し、その後は上昇した水準で推移するのを前提としている。出生率1.30のままだった場合、60年時点の人口は約8900万人。一方、これらの施策が実行された場合は最大730万人程度増える計算となる。

 資料では、「各種の支援策に…(以下有料版で,残り220文字)
朝日新聞 2023年4月27日 9時00分
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