https://news.yahoo.co.jp/articles/f150aa65e80666e314f7fc81dcf659a438edcde5
■凶器はバールと刃渡り22センチの包丁
 息子の頭をバールで3回、包丁で1回刺し、命を奪ったのは実の父親だった――。
2022年11月12日、息子のAさん(当時50)を殺害しようとした殺人未遂の疑いで逮捕された菅谷信正被告(79、その後、殺人罪に切り替わり送検)。

凶器として使われたバールは重さ720グラム、包丁は刃渡り22センチとどちらも殺傷能力の高いものだった。
駆け付けた警察官が自宅近くの路上に倒れているAさんを発見。搬送先の病院で死亡が確認された。

事件から半年。
菅谷被告の殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪を問う裁判員裁判が横浜地裁で開かれた。
法廷に現れた被告はグレーのスーツと青いネクタイを身に着け、こざっぱりとした姿で真っすぐ前を向いていた。
傍聴席には妻や親族とみられる女性の姿もあり、固唾を飲んで、裁判の行く末を見守っていた。

■息子は自宅で暴れ、壁に穴を開けた
罪状である殺人と銃砲刀剣類所持等取締法違反については、本人が認めており、争う姿勢は見られなかった。
争点となったのはその罪が情状されるかどうかだ。

「事件当時、菅谷被告は妻とAさんとの3人暮らしでした。Aさんは仕事をしておらず、アルコール依存症と精神疾患を患っていた。
夫婦は同居直後から息子との関係に悩んでいたそうです」(傍聴した裁判ウォッチャー)

Aさんは自宅で暴れ、物を投げたり、壁を蹴ったり叩いたりして穴をあけたこともあったそうだ。
家族が呼んでも無視をしたり、見下すような発言をすることもあり、直接的な暴力はないものの、家族は精神的に追い詰められていった。
常にAさんの顔色をうかがいながら生活していたとみられる。

「Aさんは結婚していたが、アルコール依存症が原因で結婚生活が破綻。Aさんの妻は菅谷被告に『実家に連れて帰ってほしい』と頼んだそうです」(前出の裁判ウォッチャー)

そして2020年に同居が始まったが、そのころすでにAさんは精神的に不安定だった。

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