きらやか銀行と持ち株会社のじもとホールディングス(HD)は28日、2023年9月にも金融機能強化法に基づく公的資金注入を金融庁に申請すると発表した。22年5月に注入の申請検討を公表していたが、業績悪化などで申請が遅れていた。同行は新たに取引先の倒産に備える貸倒引当金を予防的に積み増すなどし、23年3月期の赤字幅が拡大するという業績の下方修正も発表した。

公的資金の注入額は160億?180億円になる見通し。資本業務提携しているSBIホールディングスからも役員派遣や追加出資といった支援をうける。仙台市で記者会見した、じもとHDの鈴木隆社長(仙台銀行頭取)は「(SBIからの出資は)10億?20億円のライン」と述べた。役員の削減や役員報酬の減額なども実施する。


記者会見するきらやか銀行の川越浩司頭取(28日、山形市内の同行本店)
申請する公的資金はコロナ禍で疲弊した地域企業の支援を想定した「コロナ特例」だ。申請決定に合わせ、きらやか銀行は将来の債権放棄などを見越して予防的に貸倒引当金を増額した。23年3月期の単独最終損益が83億円の赤字(前の期は10億円の黒字)と赤字幅が従来予想から34億円拡大しそうだと発表した。

経費や与信費用の減少で24年3月期に7億円の最終黒字に転換する見通しだ。山形市内で記者会見した同行の川越浩司頭取は「公的資金活用とSBIからの資本参加を含む支援で経営は安定性を増す」と意義を強調した。

日本経済新聞 2023年4月28日 19:45
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC28AXM0Y3A420C2000000/