全国の自治体が発行し、道の駅などで配布されている「マンホールカード」が人気だ。各地の「ご当地マンホール」の写真が載っており、2016年の配布開始から累計で1000万枚以上発行された。4月28日からの第19弾は初めて海外でも配られている。人気が高まるにつれて高額転売も増え、自治体担当者は頭を悩ませている。
 カードは表にマンホールの写真や所在地の緯度経度、裏にデザインの由来を掲載。制作、発行を支援している「下水道広報プラットホーム(GKP)」によると、全国656の自治体・団体で941種類が発行され、指定された道の駅や観光施設などを訪問した人は、1人1枚無料でもらえる。人気キャラクターがデザインされたカードなどは、初日に4000枚配られたこともあるという。
 4月28日からは初の海外版が、世界遺産アンコールワットがあるシエムレアプ(カンボジア)で配られている。カードは日本語版とクメール語版の2種類。現地の人に日本の下水処理支援に関心を持ってもらうとともに、日本人にも現地を訪れてほしいとの思いで作られた。高額転売のリスクを防ぐため、国内でも配布するという。
 一方、東京都小笠原村は今年1月からマンホールカードを配布しているが、フリーマーケットアプリでは配布直後に1枚6万円以上で転売されていた。村観光協会によると、カードを入れて返送するよう、村の宿泊施設に封書が送られてきたこともある。村建設水道課の老松宏孝課長補佐(55)は「配布後に転売されたかどうかまで村では把握できず、対応は難しい。観光の起爆剤になればと始めたので残念だ」と肩を落とす。
 GKPの企画担当者は「マンホールが実際に設置された現地を訪れ、旅の思い出にカードを持ち帰ってほしかった」とカードの趣旨を説明。「転売はやめてほしい」と語った。

時事通信 2023年05月02日13時31分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023050200103&g=soc