埼玉県所沢市立中学校で2021年、2年生の男子生徒がいじめを理由に不登校になり、欠席が卒業までの約1年2カ月間に及んだ事案について、同校が今年4月にいじめ防止対策推進法で定める「重大事態」に認定したことが毎日新聞の取材で判明した。文部科学省の基本方針では、いじめによる不登校が「相当の期間」続けば、重大事態として調査する必要があり、同法に反していた可能性がある。学校側は第三者委員会を設置し、対応に問題がなかったかを含めて調査を始めた。

 父親によると、元生徒は2年生になった20年の1学期から、特定の同級生から教科書やノートをとられたり、殴られたりするようになった。21年2月ごろから「いじめが怖い」と不登校となり、欠席が続いたまま22年3月に卒業した。

 同法は、いじめによって児童生徒が「相当の期間」、学校を欠席した疑いがあるケースなどを重大事態と定義。文科省の基本方針は、欠席期間の目安を「年間30日」とする。学校側が重大事態を認定した場合、速やかに組織を設けて、事実関係を明確にするための調査が義務づけられている。9l

 重大事態の調査を怠ったことが明らかになった茨城大教育学部付属小学校(水戸市)を巡る報道などを通じ、認定の目安を知った父親が今年4月7日、市教委に元生徒のケースが重大事態に該当するかを問い合わせた。これを受けて、同中学校は11日、いじめを理由とする不登校が「30日以上」続いた疑いがあるとして重大事態と認めた。17日に第三者委を置いて調査を始めた。

 市教委は21年2月、学校からの報告で元生徒がいじめを受けたと認知。3月までに、いじめが理由で欠席していることも把握し、4月には「3月末までの欠席日数は二十数日」との報告を受けた。4月以降も欠席が続いたが、同校から「いじめは解消した。登校を再開できるよう支援する」との報告を受けたとしている。

 文科省の基本方針では、学校がいじめの解消を判断するには、いじめの行為が止まった状態が約3カ月続いたことを確認する必要がある。毎日新聞の取材に対し、市教委学校教育課は基本方針に反して、解消の判断が不適切だった可能性があることを認めている。

 一方、21年当時、重大事態と判断しなかったことについて、同課は「欠席日数が30日に満たないので重大事態ではないと捉えたのだろう。ただ、今の時点では判断材料はなく、当時の対応が適切とも、不適切ともいえない」として、第三者委で調査を進めて明らかにしたいと説明した。

 また、同校は「詳細はコメントできない。丁寧に調べないといけない」とした。

 父親は、取材に対して「重大事態の認定がなぜ今までされなかったのか、責任の所在と経緯を明らかにしてほしい」と訴えている。【岡礼子】

毎日新聞 2023/5/3 05:00(最終更新 5/3 05:31)
https://mainichi.jp/articles/20230502/k00/00m/040/325000c
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