日本メーカーが10年かけてもテスラに追いつけない理由

1.数年に一度のモデルチェンジが慣習だったレガシー自動車に対して、製造途中でも常にアップデートし(週に20程度ともいわれるアジャイル方式)、ソフトウエアで更新できるものは販売後のテスラ車も定期的にアップデートされることで最新の状態を維持できる
2.半導体不足に苦しんだレガシー自動車勢を尻目に、テスラは大きな影響を受けなかった。
IT企業でもあるテスラはソフトウエアも垂直統合しており、調達可能な代替半導体に対応できるファームウエアを短期間に用意して、半導体調達の幅を広げて乗り切ったからだ。
3.車両や製造も、さまざまな設計やプロセスをゼロから再構築してきた(マスクの「第一原理思考」と呼ばれる)。
例えば、製造プロセスも「ギガプレス」というアルミ合金一体鋳造を自動車産業で初めて導入することで、部品・ロボット・人員・コストの大幅削減と製造スピードをアップさせ、フォルクスワーゲンの生産スピードの3倍とされている。
4.蓄電池の効率に最重要な熱管理を早くから取り入れ、廃熱を空調に利用するヒートポンプを自ら開発し、断熱性の高い二重ガラスもいち早く導入するなどして、
・電費(走行距離あたりの電力消費)
・蓄電池効率(蓄電池容量に対する走行距離)
ともに、他社よりも一段と高い水準にある。
5.ギガファクトリー(製造工場)そのものも「製品」と呼び、建設プロセスでも「第一原理思考」による高速ペースで建設から生産へとこぎつけ、その後も各工場で増設・増産を進めている。
6.世界全体に高速充電網(スーパーチャージャー)を自ら構築し、今や世界全体で約5000か所・4万5000基を整備して他社を圧倒的にリード
充電ケーブルも細くて扱いやすく、低速(AC)も高速(DC)もひとつの口にまとめてシンプル
7.世界で走っている累計400万台(2023年4月末)の全ての車両が「自動運転レディ」
実走している全テスラ車からシャドーモードでデータを収集してAIに深層学習させているため、学習データが他の自動運転よりも桁違いに多い上に多種多様であり、今後も急激な性能向上が期待できる。