ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使は18日までに、ロシアの侵攻で破壊されたウクライナの鉄道インフラ復興に際し、日本の「新幹線」のような高速鉄道の整備を検討していると明らかにした。

 日本政府や新幹線の製造を手がける日立製作所と協議していると説明。日本の技術に強い期待感を示した。

 コルスンスキー大使は、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前にインタビューに応じた。この中で「国家インフラ開発プロジェクトとして、スピードと快適性の観点から新幹線に似た全く新しい鉄道システムを建設する可能性について、協議を始めた」と明言。高速鉄道網の整備に関し、運行システムを含め高い技術を持つ日本の支援を望んでいると語った。

 さらに、破壊された建物や道路の再建にとどまらず、「ウクライナの経済を近代化させるプロジェクトを実現させたい」と強調。インフラ分野のほか、主要産業である農業分野への投資も訴えた。

 ロシアによる核兵器使用の脅威にさらされる中、G7に軍事面でさらなる支援を要請。「国民を守るためにはできるだけ多くの高性能な武器が必要だ」と訴えた。ロシアが2014年に併合した南部クリミア半島を含め、全ての領土から撤退することが対ロ交渉に応じる「最も重要な前提条件だ」と、ウクライナ政府の立場を改めて示した。

 武器供与に制約がある日本が果たす役割については、「他国の復興支援で培った経験があり、金融大国でもある」と語り、軍事面にとどまらない独自の貢献の在り方を歓迎。港湾都市オデッサに横浜市が浄水装置を送るなど、自治体レベルでの支援に謝意を示した。

 日本が受け入れているウクライナからの避難民は約2300人。欧米に比べれば少ないものの、コルスンスキー大使は「大きな数字だ。多くの学生が授業料の免除を受け、大学で学んでいる」と評価した。また「避難民が困難な時期に地域の人々に受け入れられていると感じることが非常に重要だ」と述べ、日本の市民に協力を呼びかけた。 

時事

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