https://jp.reuters.com/article/usa-election-ukraine-idJPKBN2XE0FQ
 ジョージ・ストーニチジさんは、2回の大統領選挙でトランプ前大統領に投票した。今も国内政策ではトランプ氏が最高だと評価している。
だが、2024年の大統領選挙でトランプ氏が共和党候補としての指名を獲得し、バイデン現大統領と争うのであれば、ストーニチジさんは票を投じないつもりだ。

ストーニチジさんは、緑豊かなペンシルベニア州カーボン郡で共和党職員を務めている。
だが、ウクライナ系米国人であるストーニチジさんとしては、戦火で荒廃したウクライナを支援するための支出をトランプ氏が批判することも、
以前からプーチン露大統領を高く評価している点も許しがたい。
元トラック運転手のストーニチジさんは、アパラチア山脈にある自宅でロイターの取材に応じ、
「トランプ氏の最近の発言や、プーチン氏にすり寄る態度は、自分としてはとうてい支持できない」と語った。

ウクライナ系米国人の間では伝統的に共和党支持が強いが、連邦議員やストラテジスト、啓発活動家、
そして米国の国勢調査統計に関するロイターの分析によれば、2024年の国政選挙に大きな影響を与える可能性がある。
ウクライナ系を出自とする米国人の数は約100万人と相対的には少ないものの、その分布は全国有数の激戦区に集中しており、
彼らの票の行方が勝敗を左右する可能性がある。

ペンシルベニア州とミシガン州では、ウクライナ系米国人のコミュニティーの規模が、2016年にトランプ氏が勝利したときの得票差を上回っていることが分析により判明した。
下院議員選挙区のうち、全米で少なくとも13選挙区では、2022年の中間選挙における共和・民主両党の得票差よりもウクライナ系米国人の数が多いか、ほぼ同数だ。

ロイターは、ウクライナ系米国人の活動家や、選挙を経て就任した公職者、地域のリーダーなど22人、
さらにウクライナ系米国人のコミュニティーと交流のある当局者やストラテジスト10人以上に取材を行った。
多くは、ストーニチジさんのように2024年の選挙では棄権するか、あるいは生まれて初めて民主党に投票しようと考えている。

共和党の中心的議員や2024年大統領選をめざす同党の有力候補の一部は、昨年ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、
ウクライナ系米国人の祖先の土地を防衛することに関心を示していない。
バイデン現大統領がウクライナとその指導者ゼレンスキー大統領に全面的な支持を表明しているのとはきわめて対照的だ。

インタビューに応じたウクライナ系米国人は全員、怒りを感じると話した。共和党に裏切られたという人もいた。
大半の人は、ウクライナを支持しない候補者に投票する可能性を排除し、予備選でも大統領選本番でも、
共和党の有力候補であるトランプ氏、フロリダ州のロン・デサンティス知事のいずれにも投票するつもりはないと述べた。

トランプ氏は先週、タウンホール形式によるCNNの番組に出演し、ウクライナ侵攻に関する質問に対して、ウクライナがロシアに勝利することを望むかどうか明言を避けた。
過去にはプーチン氏への称賛を繰り返しており、昨年ウクライナ侵攻を始めたときには、プーチン氏を「天才」と呼んだ。
近日中に大統領選への出馬を表明するとみられるデサンティス氏は、バイデン政権がウクライナ政府支援のために「白紙小切手」を切っていると過去に批判。
「ウクライナとロシアの領土紛争にこれ以上巻き込まれる」ことは米国にとって重要な国益ではないと述べている。

ウクライナ侵攻についてトランプ、デサンティス両氏にコメントを求めたが回答はなく、共和党全国委員会も回答しなかった。
ウクライナ政府への支援を公約している共和党大統領候補としては、ニッキー・ヘイリー前国連大使などがいるが、世論調査では支持率が伸び悩んでいる。

<決定打となりうる層>
ペンシルベニア州では、約9万2000人が自らをウクライナ系米国人であるとしている。
ロイターの分析によれば、2016年にトランプ氏が同州で勝利を収めたときの得票差4万4000票の2倍以上、
また2020年にバイデン氏が勝利したときの得票差8万1000票も上回っている。
ミシガン州には約3万1000人のウクライナ系住民がいるが、これも2016年にトランプ氏が勝利したときの得票差約1万1000票より多い。

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